薬剤師の星谷です。
さて、薬剤師の転職において避けては通れないのが「面接」です。
しかし薬剤師は一般企業に就職する学生と違って、就職活動時にそう何社も何社も面接を経験されている方ばかりではありません。面接慣れしていない、そもそも面接というのがどういうものなのかよく分かっていない、という方も多いのではないでしょうか?
私は前職で調剤薬局チェーンの採用担当をしておりましたので、採用する側の立場で、薬剤師さんとの面接を過去かなりの数、経験しています。
本記事ではそのときの経験をもとに、人事の視点で「はじめて転職する薬剤師さんでも、面接ではここを押さえておけば大体OK!」という内容をまとめてお伝えしたいと思います。
目次
薬剤師の面接は「第一印象が8割」
私が面接官として薬剤師の面接を実施していたとき、最も重要だと考えていたのは、面接開始時の第一印象、つかみです。
面接って、30分とか、長くても1時間とかだと思いますが、採用の可否については実はもうお会いして10秒くらいで8割がた決まります。そして残りの2割を、その後のトークで補完します。
これでおおよそ見誤りません。またこれは私だけでなく、他の調剤薬局でもそうだと思います。
なぜ「第一印象が8割」なのか
理由は2つあります。
1つは、薬剤師に必要なコミュニケーション能力が第一印象によく表れるから。
今後、薬局で患者応対をすることになった際に、事務的な応答しかできなかったり、あるいは不快感を与える応答だったりしたら、まずいですよね。その辺りって、ちょっと話せばもうなんとなく分かりますよね。ダメな人かどうか。
もう1つは、そもそも聞くことがあまりないから。
一般企業ではそうではないと思いますが、こと調剤薬局の面接においては、みなさん過去にやってきた仕事もこれからやる仕事もかなり似通っていますし、質問内容もそれに対する適切な回答内容も、最初から型が決まってしまっています。したがって、薬剤師の面接に限っては「第一印象が勝負」と言えるのです。
面接で第一印象を良くする方法
あまり難しく考える必要はありません。元気に、明るく、目を見て話す。これができていれば大体OKです。とはいえ残念ながら、薬剤師でこれができない人は多いのですが……。あともちろん、遅刻をするとか、きちんと挨拶をしないとか、人としてダメな行為もNGです。
しかし、初めての転職で緊張していると、元気に明るく、というのもうまくできなかったり、あがってしまってしどろもどろになってしまったりすることもあります。
そうなりそうな方に私がいつもお伝えしているアドバイスは、「わたし今すごく緊張していて、今日はうまく話せないかも知れません」と最初に言ってしまうことです。少し緊張感が和らぎ、楽に話せるようになります。また仮に本当にうまく話せなくても、最初に予防線を張ったことによって悪い印象を緩和できます。
ネガティブな内容に関する質問の答え方
面接の最初を乗り切ったら、次は履歴書と職務経歴書をベースに質疑応答がはじまります。ここでは、聞かれる可能性が高い質問をあらかじめ想定し、きちんと答えられるように武装しておきましょう。ノーアイデア、ノープランで行くと多分えらいことになりますので。
ここでポイントとなるのは、前向きでない内容をどうポジティブに言い換えるか、です。以降では、よくあるネガティブな内容とその伝え方を、いくつか例を挙げて解説します。
転職理由が「人間関係が悪かったから」の場合
転職理由として「人間関係」を挙げる薬剤師さんは非常に多いです。
具体例を挙げると、前の職場にAさんという人がいて、その人となんかバツが悪かったと。で、実を言うとそのAさんが原因で辞めた、と。しかし、それをそのまま面接の場で伝えてしまうと「他責性が強い」という評価になってしまう可能性があります。要は、ウチでもまた人間関係で人のせいにしてすぐ辞めるんじゃないか、と思われかねないわけです。
そこで伝え方としては、バツが悪かったからすぐ辞めたとかではなく、以下のように「試行錯誤した感」を伝えます。
その状況を改善したくて上長に何度も相談したのですが、その上長も結局、まじめに相談に乗ってくれませんでした。 他の同僚や友人にも相談しながら、なんとか転職せずに残ろうとしたのですが、それでももう、限界で……。 そこで、転職も視野に入れて紹介会社に相談をしてみた結果、御社をご紹介いただくことができました。 |
どうでしょう? 他責感はちょっと和らぎますよね。なお当たり前ですが、嘘でないことが大前提です。
ちなみにこれは、前の職場を3ヶ月で辞めた、とか、直近の職歴が短すぎる場合にも同じことが言えます。せっかく採るならいい人で、長くいてほしいわけなので。
子どもや家族、自分の都合で、勤務に制限がある場合
例えば、子どもの迎えの都合で午後5時には絶対に上がらないといけない、親の介護の都合で火曜日は休まないといけない。あるいは、自分が持病を持っており時々通院しないといけない、など。
これについては、さきほどの人間関係の話とちがって加工の余地がほとんどありませんから、ストレートに伝えるほかありません。隠したまま採用されても後で困るだけですから、伝えた上でダメであれば、潔く諦めましょう。
とはいえ、通常そのあたりの情報は履歴書や、あるいは紹介会社のアドバイザーから採用担当者にあらかじめ伝達されているはずですので、そのうえで面接の打診があったということは、その点は許容する用意があるということです。ですので、その前提で面接に臨むとよいかと思います。
ブランクが長い、調剤未経験、などスキルに問題がある場合
これも先程と同じで、書類で弾かれていないということは一定、許容されているということなので、その想定で面接に臨みます。
ただ先程の話と少し違うのは、スキル不足が問題の場合は、入社後の努力という点をより強調すると良いと思います。スキルが足りていない、入社後に迷惑をかけてしまう可能性があることを謙虚に認めた上で、一日も早く貢献できるようにがんばりますと伝えられると良いですね。
他社併願しているかどうか聞かれた場合
これは難しい問題ですね。結論としてはケースバイケースです。第一志望か第二志望かどうかにもよります。
第一志望の場合
第一志望の面接の場合、特に聞かれなければ、他社も受けているとは言わないほうが良いケースのほうが多いと思います。
単願で応募してきたAさんと、数社併願しているBさん、あらゆる要素がほとんど同じだったとしたら、志望度がより高いと考えられるAさんが選ばれる可能性はあります。聞かれたら素直に「御社が第一志望です」と伝えましょう。
第二志望の場合
第二志望の面接の場合、たとえば「最低2個は内定をもらっておきたいが、第一志望の面接ではあまり感触が良くなかった」というケースを想定するとします。この場合「○○社も受けているんですが、今は御社が一番です」と言う、など。嘘にならない範囲で、志望度が高いことをうまく伝える工夫をしましょう。
まあ、とはいえ、採用担当者も普通は併願で応募してくることを想定していると思いますけどね。仮に単願だったとしたら、なんで?って話になりますし、逆にそこは答えられるようにしておく必要があります。
まとめ
以上をまとめると、薬剤師の転職の面接においては、まず第一印象が最重要。元気に、笑顔で、目を見て愛想よく最初の挨拶を交わす。そしてその後の質疑では、後ろ向きな内容をなるべく前向きな伝え方に直す。これだけ押さえられていれば大体OKです。
面接する相手の立場に立ったときに、こういうことを言っていいのかな?悪いのかな?というのを真剣に考えられているかどうかが、成否を分けるのではないかと思います。もちろんそれが全部正解にならない可能性もあるんですが、そういう企業さんは、あなたとは合わないところなので。
なお最近の面接では、新型コロナウイルスの影響で大手中心にオンライン面接で実施されるケースが多く、弊社の同じく薬剤師のアドバイザーである星谷が記事にまとめていますので、併せてお読みいただくとよいかと思います。
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