子どもが生まれて直面する、子育てと仕事を両立する難しさ。では、ママが薬剤師として働き続けるためには、どんな職場を選んだらいいのでしょうか?
本記事では、ママ薬剤師が働きやすい職場はどこか、各職場にどんな特徴があるのかをひもといていきます。
目次
子どもがいても働きたい。ママ薬剤師が働きやすい職場とは
「子育てと仕事を両立して働き続けたい」、「子どもと家庭は大事にしたいが、薬剤師としてのキャリアも途切れさせたくない」――子どもが生まれ、出産前とは違う状況に置かれたママ薬剤師の方には、これからの働き方に悩まれている方も少なくありません。
子どもが生まれる前は「すぐ子どもを預けて働こう」と決意していたのに、「やっぱり子ども第一で仕事をセーブしたい」と考え方が一変して、自分自身への驚きとともに、仕事との付き合い方を考え始めている方もいらっしゃるかもしれません。
では、ママ薬剤師が働きやすく、なおかつスキルアップできる職場とは、どんな職場なのでしょうか?
ここでは薬局、ドラッグストア、病院など様々な薬剤師の職場について、「ママのニーズ」を念頭に、働きやすさや特徴を検証していきたいと思います。
ママたちに重視される条件
当然ですが、親になれば、子どもの生活にも責任を持たなければなりません。このため、ママになると、出産前は問題なかったような就業条件が、一気に問題に転じることがあります。たとえば今までは残業OKだった方が、幼稚園や保育園のお迎えの制約から残業NGになったり、通勤時間の長さが支障になったりします。多くのママ薬剤師が、産休・育休明けのタイミングで産前と異なる職場に転職するのはそのためでしょう。
では、ママ薬剤師の方は、どのような条件を重視して転職先を選んでいるのでしょうか。よくきかれるのは次のような条件です。
1) 自宅に近い
家族との時間を大事にしたい、送迎の負担を軽減したいといった理由から、自宅に近い職場を探す方が多いようです。預けている子どもが体調を崩し、ママに連絡が行った場合にもすぐに対応できる、ということを利点として挙げる方もいらっしゃいます。
2) 子育てに理解があり、融通が利きやすい
子どもは大人よりも頻繁に体調を崩す傾向があります。そのため、どうしても急に早退したり、当日休んだりという日が出るのは避けられません。
このようなときに、事情を理解して融通を利かせてくれる職場は、ママにとってとても心強いものです。「ママ薬剤師が複数いる職場を探します」という方が少なからずいるのも頷けます。
3) 異動がない
子どもを預けて働くママにとって、たとえ同じ地域の中でも、異動はあってほしくないものです。幼稚園・保育園への送迎ルートが変わるだけでも慣れるまでは大変ですし、やむなく転園しなくてはならなくなったりした場合、日々過ごす環境の変化が子どもにとっても負担になるためです。
このため、できるだけ異動のない職場を選ぶ方が多数となっています。
4) 勤務時間が固定されている
起きる時間、寝る時間、お迎えの時間など、子どもの生活リズムを考慮しながら働くことを考えると、勤務時間は一定のほうが楽。このため、時間や曜日が固定である、残業が発生しにくく定時で帰りやすいといった職場は、ママ薬剤師に人気があります。
一方、必ずしもこだわらない方が多いのは、正社員、パート、派遣社員といった雇用形態です。
薬剤師は資格職であり、たとえ一時的にはパート勤務を選んだとしても、状況が変われば正社員になるのも可能であることが関係しているかもしれません。
各勤務先のメリット・デメリットは? ママ目線で検証
では、ママ薬剤師の条件に合いやすい「ねらい目」の職場はどこでしょうか? 職場ごとに、ママにとってのメリット・デメリットをまとめて見ていきましょう。
●調剤薬局
処方箋を受けつけ、調剤や服薬指導を行う調剤薬局。全国どこにでもあり、店舗数も多いので、自宅近辺の職場が見つかりやすいのが良い点です。
ただし、系列薬局が多数あるチェーン薬局の場合、定期的に異動が発生する可能性があります。また、薬局の立地によって、職場としての性格が変わってくる点にも考慮が必要です。
たとえばクリニックの近隣に位置する調剤薬局の場合、持ち込まれる処方箋の処方元はだいたい固定化されており、薬局の開院曜日・時間は、その主な処方元であるクリニックと連動していることが多いです。そのため、日々の勤務では、「そのクリニックが閉まらないと薬局も閉まらない・いつ終わるかも読みにくい」という状況が発生しがちです。なるべく定時で帰りたいママ薬剤師は、就職を検討する前に、薬局の現状についてリサーチを行うことが必要かもしれません。
一方、病床規模の大きい医療施設の門前薬局は、病院外来の受付終了時間に合わせて、終業時間が早めに設定されている傾向があります。また、病院は土日休診の場合が多いため、門前薬局も土日休みとなっているところがよくみられます。扱う処方箋の量が多く、複雑な処方も多いことから忙しく感じるかもしれませんが、子どもと休みを合わせられる点はママ向きであると言えるでしょう。
●ドラッグストア
ドラッグストアといえば、OTC医薬品とともに衛生用品や日用品、食品を販売するお店という位置づけでした。しかし近年、処方箋も受け付ける調剤併設型ドラッグストアが誕生し、着々と数を増やしつつあります。
OTC医薬品やサプリメントの相談など調剤以外の業務に対応することも多いため、薬局だけでは得られない経験が得られるという意味では面白い職場でしょう。処方箋が少ない店舗だと薬剤師の人員配置が少ない、夜間や土日祝も処方箋を受け付けている店舗もあるため、そのような店舗だと勤務の必要性もあるなど職場を選ぶ上で考慮すべき点はありますが、パート勤務を選択することで、働きやすい環境を確保することも可能です。
また事業規模の大きい会社が多く、正社員でも会社によって育児サポートの人事制度を備えている会社が多いため、ママになる前から働いて、ママになったら制度を利用してなど、長期的な視点で見ると働きやすい職場と考えられます。
また調剤以外に幅広く働く職場が多いため、高待遇の求人が目立ちます。長期的な視点で、金銭面にも重きを置く方は、一度求人内容をチェックしてみるのがおすすめです。
●病院
病院薬剤師の仕事には、多忙、難易度が高い、夜勤や休日出勤がある、などのイメージがついて回ります。このため最初から敬遠する方も多いようですが、実は、病院はママ向きの職場です。
病院で働く職員は総合的に見ると女性が多いため、多くの施設では、時短勤務制度や院内託児所利用制度など、子育て中の方にとってありがたい制度が充実しています。また、常に治療やケアが発生する可能性がある医師や看護師と違い、薬剤師には緊急の対応を求められる事態は少ないため、勤務時間帯が日勤のみであることも少なくありません。
病院薬剤師は調剤のほか、病棟での服薬指導や説明・相談業務なども担い、チーム医療の一員としても活躍を求められます。求人自体が多くないのはデメリットですが、幅広い役割をこなすことにやりがいを感じられそうなら、ママ薬剤師が転職を検討する価値は大いにあるでしょう。
まとめ
・子育てと仕事を両立して働き続けたいと考えるママ薬剤師は多数いますが、子育て制度が十分に整っていない場合は出産前の職場で働き続けることは難しく、多くの方が育休から復職するタイミングで転職しています。
・ママ薬剤師が重視する条件は、自宅からの近さ、職場の子育てへの理解、異動がなく安定した勤務シフトで働けることなどです。一方で、雇用形態にはあまりこだわらない方が多いようです。
・調剤薬局は多数あるため、自宅の近所でも職場が見つかりやすいのがメリットです。
・調剤併設型ドラッグストアは営業時間の長さがネックになる場合があるものの、給与に魅力がある職場が多数です。最近では、大手を中心に子育て制度も充実してきていますので、一見の価値はあるでしょう。
・病院は子育て中の方に対する制度・施設が充実しているため、ママ薬剤師におすすめです。求人自体は多くありませんが、興味があるのならチャレンジする価値はあるでしょう。
子どもがいてもキャリアアップしたい、でも子どもとの時間も大事にしたい――ママ薬剤師たちのそのような気持ちは、当然のものです。
自分の条件を明らかにして、最適な職場を探しましょう。
もしよければ、「キャディカル薬剤師.転職」も、ぜひご活用ください。お困りのことがありましたらお気軽にご相談ください!