
「職場が合わない気がする」「ここで働き続けて、本当にいいのかな?」……希望を持って1年目をスタートしたものの、このように悩み、転職を視野に入れ始めている薬剤師の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
よくある転職希望理由をご紹介するとともに、転職する前に考えたいポイントをお伝えします。
転職したいーー1年目の薬剤師が悩むようになったら
新卒で薬剤師として働き始めるときは、誰もが希望に満ちているものですよね。
しかし、学生と社会人では立場も環境も大きく変わります。働くうちに学生時代にはなかったような問題に直面し、「職場が合っていないのでは」「こういう仕事内容とは思っていなかった。このままでいいの?」など、悩み始める方も少なくありません。
仕事はその気になればすぐにやめられますし、お試しのつもりで求人検索などをしてみれば求人情報はたくさん目につくため、「転職しようかな」とひとたび思うと一気に気持ちが大きくなってしまいがち。
ですが本来、1年目での転職はあまりすすめられるものではありません。薬剤師は確かに強い資格ですが、知識と経験がものを言う職業でもあるためです。
ともあれ、状況によっては、何を差し置いても転職したほうがいいという場合もあります。この記事では、たとえ1年目でも転職したほうがいいのはどんなときか、転職したくなったときに考えるべきなのはどんなことか、まとめてご紹介いたします。
こんな時は思い切っても。転職を「してもいい」状況
すでに触れたように、新卒1年目の薬剤師の転職は、本来は慎重になったほうがいいと考えられます。
なぜなら、採用側が中途採用で希望する人物像は、「即戦力になる人」であるためです。
当然ながら、転職市場には経験豊かな薬剤師の方が多数いらっしゃるため、1年目薬剤師の不利は否めません。せっかく思い切って転職しても望んだような職場には再就職しにくい可能性が考えられるため、立ち止まれるなら立ち止まって今の職場で経験を積むほうが、基本的には得策でしょう。
しかしながら、転職を考えるには相応の事情があるものです。介護や育児、夫婦どちらかの転勤といった家庭の都合や、業績悪化などの企業側の問題の場合、もちろん転職はやむを得ません。
また、次のような理由で心身が疲弊している場合は、自分自身のために、早めの転職を検討すべきと考えられます。
1)人間関係のトラブル
パワハラやいじめなど、職場の人間関係に問題がある場合のストレスは途方もないものです。
そんな状況に巻き込まれると仕事どころではなくなりますおね。解決しようにも、たくさんの人の絡んだトラブルは、自分ひとりが努力して解決できるようなものではありません。
そうなってしまったときは、将来よりも今の自分を守るという考えで、転職を選ぶのも決して悪いことではありません。
2)労働環境が良くない
職場によっては慢性的な人手不足などで、有休はおろか休憩すら取れなかったり、残業が当たり前の場所もあったりするかもしれません。
このような職場では、いつかは心身のどちらか、または両方がダメージを受けてしまうことになりかねません。問題が出ないうちに他の職場を探すことが望ましいといえます。
3)教育体制が整っていない
薬剤師は資格を取って終わりではなく、働きだしてからさらに経験を積み、知識を吸収していく必要がある職業です。
にもかかわらず、適切に教育やフォローをしてくれる先輩がいない、薬局薬剤師や病院薬剤師としての成長をサポートする教育制度がないなどといった場合、自己研鑽で成長していこうとしても限度があります。
成長できる環境に移ることを考えるのは、前向きな選択でしょう。
4)職場形態の向き不向き
薬剤師の資格が生かせる職場は多数ありますが、それだけに、新卒で入社した職場がミスマッチであったことに気づかされることも多くあります。
「薬局に入職したが、やっぱり病院薬剤師になりたい」「病院入職したけど思ってたのと違う」など、自分が本当にしたいことが明確化された場合、転職にチャレンジするほうが、モチベーション維持のためにも有効と考えられます。
転職だけが解決手段?決断する前に検討を
前項に挙げた事情とは違う理由だとしても、転職したいという気持ちが抑えられない方もいるかもしれません。
しかし、たとえどんな事情があっても、1年目の薬剤師の転職が不利なのは、残念ながら変わりません。
可能であれば、いま転職したいと思っている問題が別の手段で解決できないか、いったん検討してみることをおすすめします。
解決できるかもしれない手段としては、たとえば下記のようなものが考えられます。
1)人間関係や労働環境の問題の場合
トラブルのもとになっている人やグループと距離を取ったり、別の店舗や施設に異動したりすることで状況が変わり、問題が解決する場合があります。まずは異動ができそうかどうか、上長に相談してみるのもひとつです。
2)仕事内容の悩みの場合
「仕事や職場に慣れない」、「ミスが多くて自分自身のストレスになってしまう」、このような悩みから「この仕事に向いていないのでは」と悩む方もいらっしゃいます。
これは多くの1年目の薬剤師の方が直面することだと思います。個人差はあるものの、多くの方は経験を積むことで解決するため、どうしようもないほど疲弊しているのでなければ、あまり焦らずに働き続けることをおすすめします。
しかし周りに相談することや話を聞いてもらうことは大事なことなので、悩みは抱え込まずに吐き出すようにしてくださいね。
1年目の転職を成功させるためのヒント
「どうしても転職したい」――そう思うのなら、転職活動を止める理由はありません。
転職するなら、希望に合う職場への転職を成功させたいもの。何度も言うように1年目の薬剤師の転職は決して有利ではありませんので、それをふまえて、焦らず冷静に活動を進めましょう。
よくあるのが、前職で不満だった条件を解消したいと思うあまり、それ以外の条件や見るべきところに目をつむってしまうことです。
たとえば「給与が業務に見合っている気がしない」という理由で転職しようとしている場合、給与面だけを重視してしまい、職場環境や雰囲気についてはあまり考えないまま応募してしまう、といったことです。
転職活動を始める際は、まず「セルフブレーンストーミング」の時間を取ってみてはいかがでしょうか。セルフブレーンストーミングとは「ひとりブレスト」などとも呼ばれています。
いきなり転職の理想を描くのではなく、はじめに今の自分が抱えている「課題」を認識するところからスタートします。そして、課題を解決する方法はないか、そのために次はどんな職場に転職したいのかを書き出してみましょう。
課題と理想をすべて書き出して目で確認することが大事になります。今ある課題とその解決策をしっかり確認して、転職活動を始めましょう。
まとめ

- 本来、1年目での転職はおすすめできません。しかし、心身が疲弊しているときや職場とのミスマッチが明らかなときは、自分自身のために転職を検討しましょう。
- いま転職したいと思っている問題が別の手段で解決できないか、いったん検討してみることも必要です。
- 転職活動をするときは、現職の不満だけにフォーカスせず、自分がどんな職場に転職したいのかを明確化するようにしましょう。
1年目の転職は容易にするものではありません。
しかし心身ともに負荷がかかっているのであれば、頑張りすぎる必要はないとも言えます。自分自身にとって何がベストなのかをよく考えて、公開のない選択をしてほしいと思います。
自分が転職を検討すべき状況なのか分からない、という方も含め、転職に関するご相談は「キャディカル薬剤師.転職」では、全力でお手伝いいたします。 お困りのことがありましたら無料相談からお気軽にご相談ください!