尿素呼気試験で偽陰性を生じる可能性のある薬剤<難易度:高>

問題

ピロリ菌の診断、除菌判定目的で使用される尿素呼気試験で偽陰性を生じる可能性のある薬剤をすべて選べ。

 

  1. セルベックス(テプレノン)
  2. ガストローム(エカベトナトリウム水和物)
  3. クラリス(クラリスロマイシン)
  4. タケプロン(ランソプラゾール)
  5. ベルソムラ(スボレキサント)

解答

2,3,4

解説

私が解説します!
解説者:鈴木 達也
薬剤師。求人サイト「キャディカル薬剤師」を運営する株式会社MCSのキャリアアドバイザー。MCS所属キャリアアドバイザーの教育を目的とした社内セミナー「薬剤師塾」、およびMCSが提供する教育研修サービスの講師も務める。講師歴10年。

尿素呼気試験は内視鏡を用いない非侵襲的な検査法で、迅速かつ簡便に実施でき信頼度も高い検査とされ、診断だけでなく除菌判定にも有用とされています。一方で、一部の薬剤を服用中または服用中止直後に実施すると偽陰性を生じることも知られています。

尿素呼気試験に用いられる薬品にはユービット錠、ピロニック錠がありますが、ユービット錠の添付文書には以下のように記載されています。

<感染診断実施上の留意事項>

プロトンポンプインヒビター、アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン、テトラサイクリン等の抗生物質、メトロニダゾール、ビスマス製剤及び抗ウレアーゼ活性のあるエカベトナトリウム水和物等のヘリコバクターピロリに対する静菌作用を有する薬剤の服用中や中止直後では偽陰性になる可能性があるため、除菌前及び除菌後の感染診断の実施にあたっては、当該静菌作用を有する薬剤投与中止または終了後2週間以上経過していること。

<除菌後の感染診断(除菌判定)>

除菌判定については、除菌治療薬剤投与後4週以降の時点で実施すること。

なお、欧州の報告では除菌判定までの期間を除菌後4~8週間とし、判定までの期間をできるだけ置くことが求められています。

また、活動期潰瘍では除菌療法実施後に引き続き潰瘍治療が必要であり、PPIやP-CABを十二指腸潰瘍では5週間、胃潰瘍では7週間継続します。この場合はPPI等による潰瘍治療終了後に2~4週間の間隔をあけてから除菌判定を行います。判定までの間はH2RAを投与することがンおぞましいとされています。

 

<参考>

ユービット錠添付文書

ピロリ除菌治療パーフェクトガイド2版(日本医事新報社)

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