問題
以下の処方について正しいものを選べ。
<処方>
ファムビル錠250mg 8錠 / 1日2回 1日分
単純疱疹の初期症状でたらすぐ服用、2回目は1回目服用後12時間後に服用
<患者情報>
薬歴より、患者は30代成人男性で腎機能に問題はなく、持病、体質などにも特記すべきことはなく、直近1年間に口唇ヘルペスで4回受診歴あり。
- 単純疱疹(ヘルペス)に対するファムビルの用法用量は1回250mgを1日3回、原則として5日間投与なので疑義照会をする。
- PIT(Patient Initiated Therapy)と呼ばれる治療法で、効能効果を取得しているが、1回1000mgは過量なので、1回250~500mgへ変更が必要であると疑義照会をする。
- PITとしては原則として2日分処方することになっているので疑義照会を実施する。
- 2回目は初回から12時間後に服用するのが基本だが、添付文書には許容範囲として6~18時間後でもよいと記載されている。
- PITの適応を有するのは類薬のバルトレックス錠だけなので、医師に疑義照会を実施する。
解答
解説
ファムビルは2019年2月に「再発性の単純疱疹の場合は、通常、成人にはファムシクロビルとして1回1000mgを2回経口投与することもできる」と単純疱疹に対する用法用量が追加されました。これはPITと呼ばれる治療法で、メーカーのホームページによると「あらかじめ処方された薬剤を初期症状(患部の違和感、灼熱感、そう痒等)に基づき患者判断で服用開始する治療方法。海外では1day treatmentと呼ばれている。」と紹介されています。
従来の「症状がでてから受診し薬の服用を開始する」方法に比べ、発病初期の治療が可能となり、服薬日数の短縮、服薬アドヒアランスの向上等が期待できます。さらに従来の治療法に比べて服用するファムビル錠の総数が約半分ですむという経済的なメリットもあります。
PITとして処方するにあたり以下のような条件が添付文書に記載されているので、PITの処方箋を受け付けた際には確認しましょう。
添付文書(抜粋)
なお、類薬のバルトレックスが有する効能は「性器ヘルペスの再発抑制」で、この場合は1年以上にわたり長期に処方されることがあるので、こちらも併せて覚えておくとよいでしょう。
<参考>
各添付文書
ファムビルのPITによる短期間投与とは(マルホのホームページ:https://www.maruho.co.jp/medical/famvir/products/1day/basic.html)