ガイドラインで気管支喘息を伴う高血圧患者には「使用しない/推奨できない」とされている薬効群<難易度:中>

問題

高血圧治療ガイドライン2019の中で、気管支喘息を伴う高血圧患者には「使用しない」、または「使用を推奨できない」とされている薬効群をすべて選べ

 

  1. α遮断薬
  2. β遮断薬
  3. ACE阻害薬
  4. カルシウム拮抗薬
  5. サイアザイド利尿薬

解答

2,3

解説

私が解説します!
解説者:鈴木 達也
薬剤師。求人サイト「キャディカル薬剤師」を運営する株式会社MCSのキャリアアドバイザー。MCS所属キャリアアドバイザーの教育を目的とした社内セミナー「薬剤師塾」、およびMCSが提供する教育研修サービスの講師も務める。講師歴10年。

高血圧治療ガイドライン2019の「第7章 他疾患を合併する高血圧」の気管支喘息および慢性閉塞性肺疾患の項目の中で、各薬効群について以下のように記載されています。

  • β遮断薬

気管支平滑筋のβ2受容体を遮断し気道抵抗を増加させるので、気管支喘息患者には投与すべきではない。αβ遮断薬も使用を避けるべきである。また、心不全を合併した気管支喘息患者でβ遮断薬を使わざるを得ない患者は病状を厳重に観察しながらβ1選択性の高いものを最少量から投与する。

※β1非選択性のプロプラノロール、ニプラジロール等は添付文書上、気管支喘息が「禁忌」

※β1選択性の高いアテノロール、ビソプロロール等は添付文書上、気管支喘息が「慎重投与」

※αβ遮断薬のカルベジロールは添付文書上、気管支喘息が「禁忌」

  • ACE阻害薬

気管支喘息併存高血圧患者に対して喘息症状や呼吸機能に影響しないが、咳の副作用のために、気管支喘息の増悪との鑑別が困難となる場合があるため推奨できない。

※ACE阻害薬は添付文書上、気管支喘息が「禁忌」や「慎重投与」になっていない。

  • 上記以外

・α遮断薬とカルシウム拮抗薬はともに気管支平滑筋の緊張を和らげる作用があり、気管支喘息の呼吸機能に影響を及ぼすことが少ない。

・ARBは気管支喘息患者において咳の増悪や呼吸機能の抑制は認められない。

・降圧利尿薬(サイアザイド利尿薬およびサイアザイド類似薬)は呼吸機能に対する影響はなく、使用可能である。ただし、ステロイドが経口投与されている患者では低カリウム血症に注意が必要である。

 

<参考>

各添付文書

高血圧治療ガイドライン2019 https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019/JSH2019_hp.pdf

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