出産や子育てで一度離職しても、比較的復職しやすいのが薬剤師の魅力のひとつ。とはいえ、復職のタイミングやお子さまの手のかかり具合、ほかの家族の協力度合いによっても、ベストな働き方は違ってきます。仕事と子育てを両立したいパパ・ママ薬剤師さんは、自分に合った雇用形態や就職先をしっかり見極めることが大切です。
目次
雇用形態別にみるメリット・デメリット
雇用形態によって、子育てとの両立のしやすさ、給与、キャリアアップの機会などが異なります。どの雇用形態を選ぶかで生活スタイルや人生設計がガラッと変わるので、慎重に検討したいところです。
①正社員フルタイム
<メリット>
最大のメリットは、安定した給与+ボーナスといった収入面や、福利厚生を受けられる点。そして正社員のフルタイム勤務を続けることで、認定薬剤師や管理薬剤師といったキャリアアップもしやすくなります。求人も多く、再就職には困りません。
<デメリット>
長時間働く必要があるため、一般的に、平日に子どもと過ごせる時間は晩ごはんとお風呂、寝るときに限られるというご家庭が多くなります。その中で家事を行うとなるとかなりの忙しさですので、相当の努力が必要です。家族のサポートは必須です。
②正社員時短勤務
<メリット>
正社員のメリットを享受しつつ、原則6時間勤務などの時短で勤務するスタイルです。一般的に15時や16時に終業できるため、子どものお迎えや晩ごはんの買い物なども無理なくこなせるのが魅力。
フルタイムへの切り替えも業務はそのままで時間を延長するケースが多く、比較的スムーズです。
<デメリット>
子どもが3歳未満まで、雇用期間が1年以上必要……などの制約あり。勤務先によって規定が違います。希望する方の全員に適応されるわけではないので、きちんと確認することが必要です。
また制度として利用できても、周囲の理解が得られない場合は働きづらさを感じることも。
③パート
<メリット>
都合のよい曜日や時間に合わせて働けるので、子育てとの両立がかなりしやすい働き方です。残業や休日当番も避けやすく、家族との時間もしっかり確保できます。
子どもの成長に合わせて勤務時間を増やしていき、ゆくゆくは正社員として働くという薬剤師も多数。
<デメリット>
融通がききやすい分、正社員や派遣よりも給与は低い傾向があります。また勤務時間が規定以下だとかかりつけ薬剤師になれないなど、キャリア面でもマイナスが。
子育て期間限定と割り切れば、納得しやすいかもしれません。
④派遣
<メリット>
同じ短時間でも、パート勤務よりも時給が高く、求人数も多いのがメリットです。残業もないため、子どもに合わせて働きたいけど、給与は高い方がいい!という方には、派遣という働き方もよさそうです。
<デメリット>
子どもの急な体調不良などがあっても、急な欠勤は認められにくい傾向があります。さらに即戦力を求められるケースも多く、ある程度の経験や知識が必要です。
就職先別にみるメリット・デメリット
薬剤師としての働き先はさまざま。それぞれにメリット・デメリットがあるので、子育て中の生活スタイルへのマッチ度や、好みの仕事内容に合わせて選択しましょう。
①調剤薬局
<メリット>
一番のメリットは、調剤薬局の数が多いので、選択肢が広がるということです。自宅の近く、子どもの保育園や学童の近くなど、便利な場所も探しやすくなります。
また開局時間も短めで、仕事は調剤に関することがほとんどなので、復職のスタートとしてはぴったり。
中小の調剤薬局なら経営者と距離が近いので、融通がききやすい傾向が。逆に大手の調剤薬局なら、女性薬剤師が長く活躍できるサポート体制が整っていることも多いです。
<デメリット>
大手の調剤薬局だと、店舗移動や他店舗へのヘルプが発生することもあります。ひとり薬剤師を任されると、急な休みを取るのが難しいという問題も。
②ドラッグストア
<メリット>
調剤薬局と同じく、地域にひとつはドラッグストアがあることが多いので、勤務先を探しやすいのがメリットです。仕事は、調剤だけではなく、OTCや在宅など幅広く経験できる企業も多く、スキルアップにもつながります。
また正社員なら比較的給与が高いので、経済的にも安心感があります。大手なら、時短勤務など働く女性に配慮した制度が浸透している企業も多数。
仕事のついでに日用品が買えるなどもメリットのひとつと考えられます。
<デメリット>
営業時間が長く土日祝日も営業しているため、不規則なシフトになる場合があります。事前にしっかり条件をすり合わせましょう。
またメリットの反対でOTC医薬品の販売、企業によっては品出し、レジ対応をお願いされるなど業務の幅が広いので、負担が大きいと感じる場合もあります。
③病院
<メリット>
子育て中にはハードルが高い印象がありますが、医師や看護師など、仕事と育児を両立している方がたくさんいる職場です。慢性期系の病院なら、夜勤や残業、オンコールなどの心配もありません。
大きな総合病院や大学病院等は薬剤師の人数が多いのでシフトの融通がききやすく、院内保育がある病院を選べば、送り迎えの負担も少なくすみます。
<デメリット>
調剤薬局やドラッグストアと比べると、収入面はあまり望めません。また配属先によっては思い通りにキャリアを積むことが難しいという場合もあります。
さらに、複数の店舗があるわけではないので、規模によっては急な休みに対応がしにくいことも。
また「院内保育園がある」と聞いていても、特定の職種のお子さまが優先ということもあるので、事前に入園できるかなどを確認しておきましょう。
本当に両立できる!?見極めポイント
薬剤師の仕事と子育てを両立しやすい働き方や職場を選べたと安心していても、実際に働きはじめると想像と違って融通が利かない!休めない!といった失敗例も少なくありません。面接などの際にちょっとつっ込んで聞くとよい、見極めポイントをご紹介します。
●平常時だけでなく、繁忙期やGW、年末年始などの勤務時間、残業についても聞いておく
●実際の有給消化率を確認する
●子育てに関する制度を利用している人の実績&実際に自分は使えるかをしっかり確認する
●急な欠勤時のフォロー体制を、詳細に聞いておく
●フォローしてもらいやすいよう、正社員薬剤師が多い職場を選ぶ
先輩パパ・ママ薬剤師のリアルな声
子育てをしながら薬剤師として働く先輩のリアルな声も、参考になりそうです。
●復職してよかったと思うときは?
「収入やキャリアの面で不安がなくなったので、心に余裕ができた気がします」
「生活にメリハリがついて、子どもとの時間をより大切に過ごせるようになりました」
「短時間でも社会に出ることが、こんなにリフレッシュになるなんて思っていませんでした」
「お子さまの服薬指導や、子育て世代の患者さまにより深いアドバイスができるようになるなど、子育て経験を活かした服薬指導ができるようになりました」
●仕事と家庭の両立で心掛けていることは?
「まわりに助けてもらうことが多いので、持ちつ持たれつの関係になれるよう、他の方の急なお休みの際には率先してフォローするようにしています」」
「仕事も家事も完璧を目指すのではなく、80点を超えればOKというスタンスで◎」
「休みの日は子どもたちといっぱい遊ぶようにしています」
まとめ
・正社員フルタイム勤務、正社員時短勤務、パート、派遣、それぞれにメリットとデメリットがあります。
・調剤薬局、ドラッグストア、病院といった勤務先にも、メリットとデメリットがあります。
・子育てをしながら自分の希望に合った働き方ができるよう、働き方や職場を慎重に選ぶ必要があります。
・本当に子育てと両立しやすい職場かどうかを確認するためには、実情を細かく聞いてから判断した方がよいでしょう。
・工夫をすることで、仕事と子育ては両立できます。また、お子さまへの服薬指導など、子育てを薬剤師のキャリアとして活かすこともできます。
見極めポイントで紹介したように、実際に子育てと両立しやすい職場かどうかは、細かい実情を聞き出してみないと分からない部分があります。しかし、これから採用してもらおうとしている職場の面接でこと細かに聞くことをためらってしまうという方も多いかもしれません。
そんなときは、人事経験かつ薬剤師資格を持つ「キャディカル薬剤師.転職」のキャリアアドバイザーが、あなたの代わりに理想の職場探しをお手伝いします。
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